「フリーランス事務」という働き方 ~事務代行サービスFreelancePro畑友美さんに聞く~
こんにちは、かがりです。
安定して働ける職種として人気の事務職。これまではオフィスに出勤して正社員、派遣社員などとして働くスタイルが一般的でした。
副業が推奨され、リモートワークやフリーランスなどさまざまな働き方も増えている令和時代。
今回お話を聞くのは、フリーランスで事務をしたい人と個人に事務を委託したい企業を結びつける事務代行サービス「FreelancePro」の運営会社「ENFIED株式会社」代表の畑友美さん。
畑さんのキャリアについてのお話や、フリーランス事務という働き方についてお伺いします。
消去法で選んだはずの事務が、適職だったと気が付いた
―畑さんのこれまでのキャリアについて教えてください。
学生時代は特にやりたいことがなかったんです。アルバイトをしていた携帯ショップで、新卒としてそのまま就職しました。
事務職として社内システムの利用や、ワードやエクセルなどのオフィス系ソフトを使用した業務が中心でした。
6、7年ほどその会社に在籍して、新しいことをしたい!と思い転職を決意しました。
2社目では、事務職としてデータの分析やPL管理、経営に直結するデータを扱う業務に携わりました。管理職をしたり、自分から手をあげて事務員にカテゴライズされない仕事にチャレンジしたりしました。
忙しくも充実し、10年弱の月日が流れていました。そのとき、「消去法で選んだはずの事務職を続けることができている。事務職は自分の適職なんだ」ということに気がついたんです。
2社目に転職するとき、事務職を選んだ理由は「営業や接客を避けたかった」からでした。一見するとネガティブな理由から始めた事務がこんなに長く続けられた。この経験が大きな自信へとつながりました。
ある経営者のひとことが、起業のきっかけになった
―そこから、どんなきっかけで起業されることになったんでしょうか。
2社目に勤めて10年弱のころ、個人事業主として営業マンをしている男性の知人からある相談をいただき、個人で事務作業を請け負ったことが起業のきっかけになりました。
「自分の会社の事務が苦手で困っている。外注先をさがしているんだけど規模が小さすぎて受けてもらえなくて……」
彼からいただいた相談は、具体的には経理の領収書の入力業務でした。当時主流であった事務の代行サービスは、経理事務全般を請け負って、それなりに発注コストもかかるものでした。
彼のように「少量で、一部分の業務のみを事務の外注に出したい」というニーズの受け皿となるサービスは当時はなかなかありませんでした。
わたしは、中小企業や個人事業主向けの、少ない単位での事務作業を請け負う会社が世の中に必要されていることを知り、なにかできないだろうかと考えるようになりました。
―その段階から法人化を検討されていたのか、それとも徐々にお仕事を増やしていって法人化することになったのでしょうか。
最初から、法人化するつもりでした。法人化するまでは約1年間の準備期間をもうけ、自分ひとりで仕事を請け負い一連の業務の流れをつくりました。
FreelanceProってどんなサービス?
【フリーランス事務について】
フリーランス事務って何?
企業などに所属せず個人(個人事業主)として事務代行を行うことを指します。
どんな働き方?
フリーランスの場合、クライアントとなる企業や個人との契約により、勤務体系はさまざまです。月給、時給の形で報酬をいただくこともあれば、納品した量に応じて単価が設定されている場合もあります。FreelanceProは主に業務量に応じて月額を設定する成果報酬型を採用しています。
また自宅などあなたの好きな場所で仕事をすることができる場合もあり、勤務時間や働く場所の自由度が高い働き方と言えます。
―事務職は、昭和のころは正社員のOL、平成は派遣やアルバイトの形態へと移行してきましたよね。従来の事務とフリーランス事務の違う点について教えてください。
大前提として、フリーランスの事務は個人であるということです。正社員とは違って自分で調べるスキルやわからない点をきちんと把握して聞くことのできる質問力が問われるでしょう。
また会社に雇われていると、仕事はルーチン化されていて、「頭を使わない作業の連続」になりがちですが、フリーランス事務はその逆だと言えます。自由な代わりに全て自分の責任。この大前提があるだけでも仕事の業務の吸収率がかなり違ってくるでしょう。
―登録しているスタッフさんは、どのような年齢の方や、働き方をされているんでしょうか。
年代は30代の方が多いです。会社で残業ができないので、副業としてお仕事をされているケースの方もいらっしゃいます。
―残業ができない事務の方はなぜ多いのでしょうか。
その背景には、事務員をコストあつかいしていることがあります。事務仕事は、経営層から見ると直接利益を上げないと認識されているので、コストカットの対象となり残業したくてもできないことが多いのです。
誰でもできる事務仕事であったとしても、必ず必要とされています。事務職はキャリアアップがしにくい現状がありますが、もっとがんばりが正当に評価されるべき仕事だとわたしは思っています。
―他社さんでも「在宅、業務委託でできる事務」はありますが、うちは他とは違うぞ!といいうところを教えてください。
例えば大半のクラウドソージングは、WEB上に公開されているお仕事の中から自身で仕事を検索・応募します。また、企業さんと条件交渉が必要なケースもあります。
当社の場合ですとスタッフさん一人ひとりの適性や希望に合ったお仕事をこちらが選んでご紹介しています。きちんと人がマッチングすることで企業さんとスタッフ間のミスマッチを事前に取り除ける点が大きな違いであり、アピールポイントになります。
また実際にお仕事が始まったあとに、個人で委託していると相談できる相手がいない場合も多いです。そんなときのサポートもしていますし、委託を受けている企業さん側ともコミュニケーションを取るよう心がけています。
―FreelanceProでは「フリーランス事務」という言葉を使われていますよね。どんな思いがあるのでしょうか。
フリーランスはイコールIT業界やクリエイティブ、と思われがちですが、それだけじゃない。そんな風に認知されたくてこの言葉を使っています。
この事業を立ち上げた以上、事務職でもフリーランスという働き方があることを知って欲しいです。そして働き方の選択肢のひとつに加えて欲しい。まだまだ認知度が低いので多くの人に知ってほしいという想いも込めてこの言葉を使っています。
事務は立派なスキルです!
―最後に、読者の方へメッセージをください。
事務職の方の多くは営業が苦手だから事務、接客が苦手だから事務、と消去法で選んだ方が多いですね。スキルに自信が持てない、自分自身の存在価値が見いだせない、などと言った理由からマイナスにとらえられている方もいらっしゃるかと思います。
そんなことはない、自信を持ってほしいということをお伝えしたいです。
まずはフリーランス事務という、自分の事務スキルを生かせる働き方を認知をしてもらいたいです。うちの会社のようにバックアップする会社もあります。現在事務職で自信なく仕事してらっしゃる方も、とにかく続けることが大切です。それができてるなら十分事務職に向いていると前向きにとらえていただきたいと思います。
事務職は極めれば立派なスキルになりますよ!
編集後記
この記事を読んでくださった方の中にも、現在事務職として働かれている方や、過去に事務職の経験がある方がいらっしゃるかと思います。
副業やフリーランスに興味はあるけれど、自分自身の事務職の経験と結びつけることはできない、とあきらめてしまっている方も多いのではないでしょうか。
そんな方たちにわたしから一番伝えたいことは、「事務職のスキルがあるならば、自信をもって副業やフリーランスに挑戦できる可能性があるよ」ということ。
わたしの場合社会人として数年の事務職経験のみ、何のスキルもない状態でフリーランスになることを決めました。
そこでメインとなる仕事として、すでに経験がある事務職を選びました。
事務職は立派なスキルであること、フリーランス事務という働き方を知ることによって、あなたのキャリアの選択肢の幅がひとつ広がりますように。